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さようなら,資本主義

なかなかに刺激的な表題のコラムです。
こんな書き出しではじまります。

FT.com / Comment & analysis / Comment – Goodbye capitalism:

In a capitalist economy, losers are expected to take losses and winners to gain. Private enterprise is best able to allocate capital efficiently and, where it fails to do so, markets make adjustments and capital is reallocated to efficient users. This basic tenet supports good and productive assets moving from the hands of weak players to stronger. Where this is not possible, the US system gives the government a hand in fostering that move through an efficient process called bankruptcy or reorganisation. This rule of markets and of law has always been the basis of our national supremacy in innovation and the reason ours was the worldユs clear choice of a reserve currency. That was the world we lived in previously.

資本主義経済においては,敗者は損失を被り勝者は利益を得ると考えられている。
民間企業は資本を効率的に配分する方法としては最適であるが,民間企業がそれに失敗する場合には,マーケットによる調整を通じて資本は効率的な使い手へと再配分される。
この基本的教義がより強力なプレーヤーへの良好で生産性の高い資産の移転を促している。
そしてこの基本がうまくいかない部分においては,破産あるいは更生と呼ばれる効率的なプロセスを通じて資産の移転を促すという手段が政府に与えられている。
このマーケットのルールそして法的な規制が,イノベーションにおけるわれわれの覇権の基礎をなしてきたし,アメリカドルが世界の基軸通貨とされてきた理由であるといえる。
それがかつてわれわれがいた世界だ。

このあと,Fannie(ファニーメイ|連邦住宅抵当公庫)とFreddie(フレディマック|連邦住宅貸付抵当公社)への公的資金投入による支援を,資本主義のルールに反し,さらなる問題を引き起こすと喝破しつつ,代案を示したあと,こう括ります。

FT.com / Comment & analysis / Comment – Goodbye capitalism:

This approach would send a very strong signal, from the government, that investors fully consider the risks of bad asset allocation. It would almost certainly strengthen the dollar. Though it would cause pain for equity and subordinated debt investors, those investors received the majority of returns over the past several years and, in our great system, they are supposed to be subordinated.

このアプローチは,投資家は不良資産のリスクを十分に考慮するものだという,政府からの非常に強力なメッセージとなるだろう。そしてほぼ確実に「強いドル」の復活をもたらすにちがいない。
たしかに資本や劣後債に投資している人びとにとっては痛みを伴うものだろうが,彼らは過去数年にわたって大きなリターンを得てきた人びとだ。それにわれわれの偉大なシステムにおいては,彼らは敗者と考えられてしかるべきなのだ。

サブプライムローン問題が噴出しだしたのは,ちょうど1年ほど前。それ以来,基軸通貨たる米ドルというのは良きにつけ悪しきにつけ世界経済に影響を与えています。
デカップリングというのは希望的観測だったのかと思わせるほどに。

当初はECBやFRBといった中央銀行が公定歩合を引き下げることで問題の収拾を図ろうとし,また資金供給をすることで信用収縮を防ごうとしました。
それらがひとつの要因となって,食料などの原材料価格や原油価格の高騰,消費者物価の上昇,インフレという風が吹き始め,それがまた景気を悪くするので利下げや資金供給を行うという「負のスパイラル」,いわゆるスタグフレーションの危機も囁かれています。

ここへきてアメリカでは前述のファニーメイやフレディマックに対してFRBが融資を行い,政府も公的資金の注入を検討しています。
コラムでは資本主義で世界の覇権を握ってきたアメリカが,マーケットのルールで言えば退場させられるべき企業を公的資金(税金)で救済しようとしている点を問題としています。
一方,FRBや政府では日本のバブル崩壊後の日銀や政府の対応を他山の石として問題に対処すると表明しています。

一時的な痛みを強いても早急な回復を目指すのか,徹底的に救って救って救うのか。
マーケットが失敗することもままあるので,すべてを「見えざる手」に任せることはできそうにないという気もします。
難しい問題で一朝一夕に結論は出ませんが,いちばん良くないのは,どっちつかずの中途半端な姿勢で臨むことでしょうね。

Filed under: Economy

バンドワゴン効果

へえ,いよいよ新聞って苦境なんだなあという感想しかない。

「説得力あるメディアは新聞」、7割が回答、博報堂DYメディアの調査:ITpro:

博報堂DYメディアパートナーズが行ったメディアに関するアンケート調査によると、「説得力があるメディア」として73.3%の人が「新聞」を挙げ、「テレビ」の37.3%、「インターネット(パソコン)」の20.7%を大きく引き離した。

だってこれ博報堂(の関係会社)のアンケート調査だもの。
モダシンさんは「プロパガンダ」って書いてはるけれど
「説得力あるメディアは新聞」、7割が回答、博報堂DYメディアの調査 – []Modern Syntax:

これってどこがスポンサーのプロパガンダ?

マスコミお得意のバンドワゴン効果ってやつですね。

バンドワゴン効果 – Wikipedia:

バンドワゴン効果(バンドワゴンこうか、bandwagon effect)とは、ある選択が多数に受け入れられている、流行しているという情報が流れることで、その選択への支持が一層強くなることを指す。

ああ,あるいはマッチポンプ。

Filed under: Economy

排出量会計

経済産業省と厚生労働省が「健康会計」の導入と開示というのを提唱していますが,
健康会計|Health Accounting « ノオト|natoiuk:
健康会計2|Health Accounting #2 « ノオト|natoiuk:

こんどは自民党から「排出量会計」です。

NIKKEI NET(日経ネット):経済ニュース -マクロ経済の動向から金融政策、業界の動きまでカバー:

企業の出した排出量などを有価証券報告書で公表することを義務付ける――。自民党の地球温暖化対策推進本部(野田毅委員長)がまとめた中間報告の一節が市場関係者の思惑を呼んでいる。投資判断の材料として情報開示を拡充するのが狙いで、実現すれば欧米に先行する初の試みとなる見込み。

一部の企業はCSRの一環として環境報告書というのを作成・公開しているところもありますが,
環境報告書プラザ
社会・環境報告書データベース
これらは各企業がそれぞれの判断・基準で作成しているので,たとえば「環境報告書プラザ」の環境効率指標を見ても各社各様です。

有価証券報告書での開示を求めるということになれば,比較可能な一定の基準というのが必要になります。

そして開示内容の適正性を保証する必要があるとなれば,監査人による監査が求められるでしょうが,当然そのような実務は現在行われていないので,議論になるでしょうね。
環境報告書に第三者機関の保証を受けている企業もありますが,保証水準については別の話ということになるでしょう。

技術的な方法論については議論が必要でしょうが,ROE [Return On Equity] ならぬ ROE [Return On Energy] は単なる言葉遊びではなくて,エネルギー効率性という新しい視点(価値観)を提供するものだとは思います。

MRI | MRI TODAY | ROEのススメ:

新ROE”はReturn On Energyである。当該企業の利益や消費者が享受している製品・サービスがどれほどのエネルギーを消費して生み出されたかを考えてみるのである。このような考え方は「環境効率評価」とも言われるが、単にエネルギー当りの利益で考えると不利な企業群なども存在するであろう。

Filed under: Economy

モスバーガーの決算発表とマクドナルドの第1四半期決算発表の明暗

明暗分かれたなあ,という感想。

モスバーガー赤字3億円、88店を閉鎖へ経済ニュース : nikkansports.com:

ハンバーガー店「モスバーガー」を展開するモスフードサービスが12日発表した2008年3月期連結決算は、食材価格の高騰や子会社の経営不振などが響き、純損失が3億円の赤字に陥った。今後、不採算店の閉鎖など事業の再構築に取り組む。

決算短信を見ると,ざっくりこんな感じ。
モスバーガー事業:売上高571億円,営業利益12億円
その他飲食事業:売上高44億円,営業損失7億円
その他事業:売上高7億円,営業利益2億円

中間決算のときにも書いたけれども,
モスバーガーのクーポン効果は赤字効果? « ノオト|natoiuk:

モスの場合は,朝日の記事には書かれていないけれど,モスバーガー事業以外の飲食事業(セグメント情報では「その他飲食事業」)の営業赤字額がモスバーガー事業の営業黒字額を食い潰さんとしていることが気になったのでした。

その他飲食事業は重そうです。
でも,ちなみに,当期純損失は税効果会計での「法人税等調整額」が響いているようで,営業利益,経常利益は黒字です。

対するマクドナルド。
Welcome to McDonald’s Holdings Japan|平成2012月期第1四半期連結業績概況:

日本マクドナルドホールディングス株式会社〔本社:東京都新宿区、会長兼社長:原田 泳幸〕の平成20年12月期(平成20年1月1日~平成20年12月31日)の連結による第1四半期業績(平成20年1月1日~平成20年3月31日)につきまして、下記の通りご報告いたします。
当期のハイライト
・第1四半期増収減益
・第1四半期全店売上高対前年比+5.2%
・全店売上高対前年比26ヶ月連続プラス

昨今の経済情勢下で前期比47.1%増の(連結)当期純利益を見込むところはオドロキ。個別の当期純利益はは前期比242.1%ですって。
もちろんマクドナルドも足下盤石ではなさそうですが。

とりあえず近々,チーズカツバーガーを食べに行こっと。

Filed under: Economy

非財務情報融資と動産担保

オブザーバーで出席させてもらっている会計士協会の会合に行ってきた。
今夜は近畿財務局の方が来て,「会計士の立場から,最近の地域金融機関の企業支援の取り組み状況についてアンケートにご協力ください」ということで,1時間ほどヒアリングが行われた。

財務局の方々の話では,最近の金融機関は「地域密着型金融」をはじめとして色々な取り組みをしているとのことだったけれども,個人的には,マニュアル化された定量分析と担保重視の姿勢がやっぱり強いなあと思っているところ。

もっと杜撰な貸し出しもあるようだけれど。

J-CASTニュース : みずほ、三井住友など、岡山の紙卸会社への融資330億円焦げ付き:

岡山市の紙製品卸売会社「伊豫(いよ)商事」(破産手続き中)に、メガバンクなどが計約380億円を融資し、うち約330億円が回収できない見通しであることが分かった。

「コシ・トラスト」紹介融資、三菱UFJ銀も焦げ付き : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞):

三井住友銀行が中小業者に融資した約170億円のうち約100億円が焦げ付いている問題で、三菱東京UFJ銀行でも同じ不動産会社「コシ・トラスト」(東京都渋谷区)の社長らから紹介された中小業者数十社に約60億円を融資し、十数億円が回収不能になっていることがわかった。

金融検査マニュアルや自己査定の厳格化で,投融資に関する金融機関の自由度が低くなり,企業の将来性や技術力を評価できる人材の育成があまり進んでいないのではないか,というのが,感想として挙がっていた。

会計士協会近畿会が2年ほど前に大阪商工会議所と協働して,「非財務情報チェックリスト」なるものを公表している。
これは企業の自己採点だけでなく,融資先に対する金融機関の判断材料のひとつにしてもらおうという意図で作ったチェックリストらしいのだけれど,利用は進んでいないというのが現状のよう。

経産省、動産担保融資に指針借り手保護に配慮 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞):

経済産業省は、企業が在庫商品などの動産や売掛金を担保に金融機関から融資を受けることができる「ABL(アセット・ベースト・レンディング)」の指針案をまとめた。
(中略)
指針は、貸し手と借り手の双方が安心してABLを利用できる環境を整えることが目的だ。指針案は、〈1〉貸し手による担保価値の算定が難しい場合は、外部の独立したコンサルタント(評価会社)を活用して客観的に評価する〈2〉貸し手が担保処分する際はできるだけ良い条件で処分する――など借り手保護に配慮した内容になっている。

経済産業省が発表したこのガイドラインが有効活用されて,動産担保融資の動きが広がるか,注目しようと思う。

経済産業省:ABLガイドライン

Filed under: Economy

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