「篤姫」を見ている。
徳川家定の死の描き方がなんとも物足りなく感じていた。
篤姫と家定,離れていた二人の距離が少しずつ縮まり,お互い心を通わすことができた矢先の別離。
もっと悲哀を誘う見せ方もできただろうし,視聴者(少なくともぼく)はそれを期待していたと思う。個人的には「新選組!」(2004年)で山南敬介の切腹を描いた「友の死」(第33回)のときようなカタルシスを求めていたのかもしれない。
そこへいくと先週の「桜田門外の変」(第32回)における井伊直弼が死に臨む場面は,「篤姫」の第一の名場面に挙げられると思う。
あの狭く暗い茶室で向かい合った篤姫と井伊直弼の間に横たわる息も詰まるほどの緊迫感。
多くの人命を犠牲にしてまでも幕府の威信を護るのが「わたくしの役目」と言い切る井伊直弼の覚悟を秘めた決意。かつて薩摩で会った調所広郷と同じ覚悟をそこに認めて,己の使命を愚直に誠実に果たそうとする人間を見いだした篤姫は,井伊直弼がただの冷酷非情でないことを知る。
一方の井伊直弼も,自分を憎んでいるであろう篤姫が茶の味を賞めるその素直さに驚き,その二面性のなさと心の柔軟さが家定の心を捉えたのだろうと認める。
篤姫が井伊直弼のために作ったという懐布(ハンカチ?)を見る瞳には,ほんの少し柔和な色が浮かんでいた気がする。
「これこそが井伊様が到達された一期一会の極意でございました」
というナレーションは,すぐ先に待ち受ける運命を知るとき,鳥肌が立つほど。
久しぶりに凄みのある人間ドラマを見た。
追記(2008-08-12)
最高視聴率だったそうです。
「篤姫」視聴率26・4%、内柴金を上回る – 芸能ニュース : nikkansports.com:
10日放送のNHK大河ドラマ「篤姫」の視聴率は関東地区で過去最高となる26・4%(関西24・4%)を記録し、北京五輪柔道男子66キロ級の内柴正人の金メダル獲得を生中継したフジテレビ系の「北京オリンピック2008」を上回った。「篤姫」のこれまでの最高は、篤姫=天璋院(宮崎あおい)の夫家定(堺雅人)と父斉彬(高橋英樹)が亡くなった7月13日放送分の26・2%。NHK広報部は「今回は『桜田門外の変』という有名な事件を描いた回だったということと、お盆休みに入って在宅率が高かったこともあるのではないか」と話している。
Filed under: Life