katsuさんありがとうございます。
先日のエントリーへコメントをいただいた部分について書いてみます。
>株主優待引当金は損益計算のというより,バランスシートの時価評価の問題というところは禿同
当期の株主に対して発生するものだから、ちゃんと当期の期間費用を計算するという考えで引当計上するものではないんでしょうか?
株主優待に時価ってものはないのだから、時価評価の問題で捉えるのはどうかなーと思います。
(commented by katsuさん)
会計理論的には「費用収益対応の原則」というところに引当金計上の論拠を求めることができるとされていますが,これは適正な期間損益計算を重視するという,いわゆる「収益費用アプローチ」の観点から導かれると思います。
従来,企業会計はもっぱら「収益費用アプローチ」の立場から整理されてきていますが,近年はもう一方の考え方である「資産負債アプローチ」が発言力を増しつつあるようです。
「収益費用アプローチ」や「資産負債アプローチ」は一般的には,利益測定についての考え方とされますが,上に書いた「資産負債アプローチ」というのは,ごく簡単にいうなら,「貸借対照表を期間損益間の単なる連結環ではなく,それ自体の有意性を高めるために企業会計を整理する考え方」と言えます。
日本の会計基準では退職給付会計や金融商品会計にその流れが表れていますし,また最近,企業会計基準委員会が論点整理を発表した「資産除去債務の負債計上」などもその線上にあるものと考えられます。
前置きが長くなりましたが,先のエントリーで書いた「株主優待引当金は損益計算のというより,バランスシートの時価評価の問題」というのは,収益費用アプローチから考えた,適正な期間損益計算のために必要というより,資産負債アプローチから考えた,貸借対照表が企業の経済実態を適正に表すために株主優待引当金の計上は必要だろうということです。
「当期の株主に対して発生するものだから、ちゃんと当期の期間費用を計算するという考え」というよりも,「期末日現在の企業に潜在的な債務性のある負債が発生している状態だから,ちゃんと期末現在の負債を貸借対照表に計上するという考え」に議論の軸を置いているということです。
株主優待の時価の測定可能性の可否についてはおいておいて,「時価評価の問題」という言葉遣いは適切でないかもしれません。
SFAS157で整理された「公正価値(Fair Value)評価の問題」という方がいいのかもしれないと思いました。
最後に,いまkatsuさんのコメントを見ながらこれを書いていて,
株主優待って「当期の株主に対して発生するもの」という部分に違和感を感じたのは,それが「権利確定日の株主に対して発生するもの」だからだと気付きました。
たとえば,期末日3月31日が株主優待の権利確定日だとして,期首から3月30日まで株主だったひとではなくて,3月31日にいきなり株主になったひとが当期の株主優待の権利を獲得するわけです(約定日とか受渡日は考えずにおいて)。
まあ,株主の個性を捨象した「株式」に対して株主優待の権利が生じると考えればいいわけですが。。。
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