神様はとても残酷だ。
あるいはぼくらのことに無関心なのかもしれない。
けれどもそれは,結果としてとても残酷だ。
神様から見れば,ほんの短い間を生きるに過ぎないぼくら。
その短い時間の中で,ぼくらは愛しい人を探し,出会い,
あるいは出会えずに終わる。
最愛の人に出会うことができるのは,とても幸せなことだ。
なぜならそれは千載一遇のできごとだから。
そしてそれは,すこし不安なことだ。
なぜならいつか,ふたりでいられなくなる予感を孕んでいるから。
だけど,とにかく,ふたりで歩いていく時間はとてもとてもとても貴重だ。
ぼくらの時間はとても短い。
だからそのなかで精一杯,愛しい人を愛そうと尽くしている。
なのに神様は,ただでさえ短い時間に突然,終わりの宣告をする。
なんの予告もなしに,なんの配慮もなしに,なんの言い訳もなしに。
神様,もしもそこにあなたがいるなら,
彼女のあの張り裂けそうな気持ちを分かってくれますか。
彼女のあの絶望に暮れた涙を,まっすぐに見ることができますか。
ぼくらにできることは,少ししかない。
いや,まったくない。
ただ,彼女の歌声が戻ることを祈ることしか。
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