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直感と論理

同じテーマの2冊の本を読んだ。
ひとつはフィクション(小説),もうひとつはノン・フィクション(自伝)。

どちらも,自閉症スペクトラムとサヴァン症候群というテーマを扱っている。

フィクションの方は,「夜中に犬に起こった奇妙な事件」。
これは今年読んだ小説の中で,もっとも印象深い作品になっている。

ノン・フィクションの方は,「ぼくには数字が風景に見える」。

Passion For The Future: ぼくには数字が風景に見える:

円周率22500桁を暗唱し、10ヶ国語を話す天才で、サヴァン症候群でアスペルガー症候群で共感覚者でもある著者が書いた半生記。これらの病は稀に天才的能力を持つ者を誕生させるが、自閉症やその他の精神障害を併発することが多いため、こうした本を書ける人が出てくることは稀である。

まさに天才の頭の中がのぞける貴重な内容。

内容などについては,Passion For The Futureを見てもらうとして(残念なことに,「夜中に〜」については,適当な書評が見あたらなかった),
どちらの本も,主人公の(おそらくサヴァン症候群に由来する)数に対する驚異的な能力について書かれている。

その中で,印象に残った話題。

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(1)3枚のカード
3枚のカードがある。
それぞれのカードには色がついている。
1枚目のカードは,表も裏も赤色
2枚目のカードは,表も裏も白色
3枚目のカードは,表が赤色で裏が白色

いま,この3枚のカードを袋に入れ,そこから1枚だけを取り出して,机の上に置く。

机の上に置かれたカードが,赤色であるとき,
その裏面の色が赤色である確率は,いくらか?

(2)3つの扉
クイズ番組に出演したあなたの前には3つの扉がある。
3つの扉のうち,1つだけ,その後ろに豪華な車が置かれている。
残り2つの後ろにはヤギがいる。

あなたは車の隠されている扉を選ぶと,その車を賞品として得ることができる。

司会者はあなたに,扉をひとつ選ぶようにいい,
あなたが選ばなかった2つの扉のうち,ヤギの隠れている1つを開ける。
(司会者はどの扉の後ろに車が隠れているかを知っている)

いま,残った2枚の扉を前にして,司会者が
あなたは最初に選んだ扉を変えることができます。変えますか?変えませんか?
と聞く。

このとき,扉を変えることで賞品の車を獲得できる確率は,いくらか?

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(1)3枚のカードについて
直感的に考えると,
机の上の赤いカードは,
両面とも赤いカード,あるいは片面が赤もう片面が白いカード,のどちらかだから,
裏面の色が赤である確率は,1/2と思われる。

でも,正解は2/3。

シンプルな解説は,「ぼくには数字が〜」を読んでもらうとして,
ここでは,
「袋の中から引いたカードが赤色である確率」に対する直感と
「そのカードの裏面が赤色である確率」に対する直感の間にある
不思議な断絶について書きたい。

「袋の中から引いたカードが赤色である確率」を考えるとき,
ぼくの頭の中には,下のような図が浮かぶ。

3Cards 1

カードを引くパターンは6つ。
うち赤い面をケースは,上図の左端,左から3番目,右端の3つ。
だから,赤い面が出る確率は,3/6 = 1/2

次に,「そのカードの裏面が赤色である確率」を考えるとき,
上に示した「直感」的には,下のような図が浮かんでいると思われる。

3Cards 2-1

だから,裏面が赤である確率は,2つに1つ(1/2)と考えてしまう。

でも実際は,最初に考えた図から,
「カードが白色である」場合を除いた下の図で考えないといけない。

3Cards 3

なぜなら,図の両端のカードは,ともに両面が赤色のカードだけれども,
別のものとして(最初に)考えているからだ。

そうすると,裏面が赤である確率は,2/3になる。

「袋の中から引いたカードが赤色である確率」に対する直感は,正しい答を導き出すのに,
続く「そのカードの裏面が赤色である確率」に対する直感は,間違えてしまう。

とても興味深いことだと思った。

長くなったので,(2)3つの扉は,次のエントリーに。
ちなみに,扉を変えることで賞品の車を獲得できる確率は,1/2ではない。


夜中に犬に起こった奇妙な事件 新装版” (マーク・ハッドン)


ぼくには数字が風景に見える” (D. タメット)

Filed under: Life

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